記憶を増強する技術とは?子どもにも使える?文部科学省サイエンスカフェに行ってきました

2020年1月17日に文部科学省で行われたサイエンスカフェに行ってきました。テーマは「脳×刺激 −記憶を増強する技術−」です。

 

※追記(4/3):文部科学省から公式レポートが公開されましたのでリンクに追記しました(レポート公開は2020年2月5日)

 

講師は東京大学大学院教育学研究科(兼)科学技術振興機構さきがけの武見充晃さん、ファシリテーターは日本科学未来館の松谷良佑さんです。

当日の流れは、話題提供&質疑応答として今回のテーマである記憶の仕組みと研究から得られた記憶技術・課題の紹介がされ、次に技術や課題についてのグループワーク&フィードバックを行いました。ここでは、手元に取ったメモからポイントをお伝えします。今後文部科学省からレポート記事が公開されると思いますので、公開されしだいそちらのリンクも貼りたいと思います。

 

子どもへの技術の適用可能性と影響を把握することを目的にして参加してきました。

 

紹介された記憶術

今回紹介された研究の元になっている記憶術は、「記憶は形成された時と環境・状況が近いほど想起しやすい」という文脈依存性を利用したものです。中でも、複数の場所で覚えたものほど覚えやすいという技術を場所法と言います。ただし、複数の場所であってもその場所の組み合わせによっては記憶の向上に効果があったりなかったりするようで、有効な組み合わせは確定しているわけではありません。今回のサイエンスカフェでは、単語想起率(覚えた単語を思い出せる確率)が上がる場所の組み合わせとして「カフェ」と「図書館」が紹介されました。

 

記憶術の研究

最近の研究では、記憶は環境に依存するのではなく脳の状態に依存するということがわかってきているそうです。そして、武見さんが研究されているのが記憶が脳の状態に依存することを利用し、脳刺激で記憶の文脈を操作して忘れにくい強い記憶を形成するというものです。この「記憶」には、英単語のような宣言的記憶から運動スキルのような手続き記憶の両方を含んでおり、この脳刺激で未来社会へ波及される可能性として以下が紹介されました。

・PTSD、うつ病などを対象にした環境に依存した記憶の操作

・勉強、認知症などを対象にしたスマート学習

・アスリート、脳卒中リハビリなどを対象にした脳状態多様性練習

 

脳刺激による記憶増強技術の課題

脳刺激は、筋肉を刺激するSIXPADのような低周波を流すことで行います。人間の脳についてはまだ解明されていない部分も多く、脳刺激の研究において以下の課題があげられました。

・効果(なんか怪しい)

・安全性(副作用)

・プライバシー(記憶の操作)

・生命倫理(モラル・ルール)

 

グループワークで出た意見

イラスト付きでログを取っていた職人記録係の方たちのまとめをお借りします(真ん中左のヒゲメガネが私です)。使い方は医療行為をあげるグループが多かったです。参加した方のバックグランドがかなり幅広かったことが想像でき、多様な意見が出てきました。

 

子どもへの利用は?

副作用がわかっていない、子どもの頭の骨は大人より薄く脳刺激の影響が大人より大きく出るかもしれないなど、研究中で未知の部分が多いため脳刺激は子どもを研究対象にしていないそうです。ただ、海外では脳刺激用の商品がすでに実用化されていて、もしかすると中には使っている人もいるかもしれません。

今回は最先端の研究を元にしたグループワークが行われたので脳刺激がテーマでしたが、記憶術で考えると「文脈依存性」「場所法」は子どもでも十分に利用できる技術だなと思います。複数の場所で覚えた方が記憶が定着するなら、例えば学校の授業や習い事教室で習ったことを家で復習するのは理に適っているといえそうです。

 

イベントに参加した感想

3〜4人が1グループになっていたのですが、イベントに行く前までここまでしっかりグループワークをやると思っていませんでした。普段と違う脳が刺激されてこのイベントのことはよく覚えたのではないかなと思います。今後も教育や子育て、子ども向けの情報として発信できそうなイベントがあれば積極的に参加していきたいと思います。

 

リンク

サイエンスカフェ|科学技術週間 SCIENCE & TECHNOLOGY WEEK
https://stw.mext.go.jp/cafe.html

 

文部科学省公式レポート

https://scienceportal.jst.go.jp/reports/other/20200205_01.html
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