勉強が嫌いになる前に、親ができること

「勉強しなさい」

子どもを育てていると、つい言いたくなる言葉です。

宿題をやっていない。テストが近いのに遊んでいる。覚えなければいけない漢字や英単語があるのに、本人はまったくやる気がない。

親からすれば、「今やっておいた方が、あとで困らないのに」と思います。

でも、子どもの側からすると、そもそも一つ大きな疑問があるのではないでしょうか。

「これ、何のためにやっているの?」

何のためにやっているのかはよく分からない。

でも、テストはある。点数もつく。たくさん覚えなければいけない。そして親や先生から「勉強しなさい」と言われる。

これでは、勉強が嫌になってしまうのも無理はないと思います。

私は、子どもが勉強を嫌いになる理由の一つに、「やらされていること」と「何のためにやるのか分からないこと」が重なっていることがあるのではないかと思っています。

「英語を勉強しなさい」ではなく、「外国に行ってみたい」

例えば、子どもがテレビやYouTubeで、アメリカの雄大な景色を見たとします。

どこまでも続く道や、日本とはまったく違う街並みを見て、

「すごい。ここに行ってみたい」

と思ったとします。

そこから、

「アメリカに行ったら、英語を使うんだよね」

「英語が話せたら、現地の人とも話せるね」

という話になったらどうでしょう。

そこで初めて、英語が「学校で勉強させられる教科」ではなくなります。

**「自分がやりたいことを実現するために必要なもの」**になります。

そうなれば、

「じゃあ、英単語を一つ覚えてみようかな」

という気持ちが生まれるかもしれません。

もちろん、それだけで翌日から毎日英語を勉強するようになるほど単純ではないでしょう。

でも、私はこの順番がとても大事だと思っています。

勉強 → 将来

ではなく、

憧れや興味 → やってみたいこと → そのために必要な勉強

という順番です。

子どもにとって、勉強は「手段」なのかもしれない

私たち大人は、勉強そのものを目的として考えてしまうことがあります。

「漢字を覚えなさい」

「算数を勉強しなさい」

「英語はこれから必要だからやっておきなさい」

もちろん、基礎的な学力は大切です。

興味があることだけ勉強していればいい、と言いたいわけでもありません。

ただ、子どもの側からすれば、

「それを勉強すると、自分の世界がどう広がるのか」

が見えているかどうかで、受け止め方は大きく変わるのではないでしょうか。

宇宙飛行士に憧れたら、宇宙についてもっと知りたくなる。

恐竜が好きになったら、生物や地球の歴史に興味を持つかもしれない。

ゲームが好きなら、「どうやって作っているんだろう?」からプログラミングに興味を持つかもしれない。

海外に行きたければ、英語を覚えたいと思うかもしれない。

つまり、勉強は本来、子どもが自分の世界を広げていくための「道具」でもあるはずです。

だから私は、子どもに勉強をさせることだけを考えるより、その前に、

「この子は今、何に興味を持っているんだろう?」

と考えることが大切なのではないかと思っています。

親にできるのは、「好きなもの」を決めることではない

では、親は子どもに「やりたいこと」を見つけてあげればいいのでしょうか。

私は、それも少し違うと思っています。

子どもが何に興味を持つかは、親には決められません。

スポーツが好きかもしれない。

宇宙が好きかもしれない。

虫が好きかもしれない。

親から見れば「何が面白いんだろう?」と思うようなものに夢中になることもあります。

逆に、親が「これは絶対に面白いだろう」と思って与えたものに、まったく興味を示さないこともあります。

それでいいと思います。

親がすることは、子どもの「好き」を決めることではなく、興味を持つきっかけを、できるだけたくさん用意することなのではないでしょうか。

いろいろな場所に行く。

いろいろな仕事を知る。

本を読む。

スポーツを見る。

音楽を聴く。

自然に触れる。

その中には、「好き」も「嫌い」も「全然興味がない」もあっていい。

100個のきっかけを渡して、99個に興味を持たなくてもいいと思います。

大切なのは、その中に一つでも、

「これ、ちょっと面白い」

が生まれることです。

「ちょっと面白い」の次の一歩を手伝う

そして、親の役割がもう一つあると思っています。

子どもが何かに興味を持ったときに、その次の小さな一歩を手助けすることです。

例えば、子どもが宇宙に興味を持ったとします。

そのとき、いきなり、

「じゃあ宇宙飛行士になるために、今日から算数を勉強しよう」

とする必要はありません。

宇宙の本を一冊買ってあげる。

それくらいでいいと思います。

その本を読んで、もっと知りたくなったら、科学館に行ってみる。

そこでさらに興味を持ったら、天体観測をしてみる。

もっと知りたくなったら、宇宙について調べてみる。

そうやって、一歩ずつ進めばいい。

そして途中で、

「もういいや」

となってもいいと思います。

それは失敗ではありません。

実際に少し踏み込んだからこそ、

「自分はこれはそんなに好きじゃなかった」

と分かったわけです。

だったら、また別の「ちょっと面白そう」を探せばいい。

私は、子どもの興味とは、そうやって見つけていくものだと思っています。

親が先回りしすぎない

ここで難しいのが、親がどこまで手伝うかです。

子どもが宇宙に興味を持ったからといって、親が宇宙について調べ尽くして、教材を買い揃えて、習い事を探して、毎週勉強させるようになったら、いつの間にかまた「やらされる勉強」に戻ってしまいます。

だから、

きっかけはたくさん渡す。
一歩踏み出そうとしたら、少し手伝う。
でも、歩くのは本人。

くらいがいいのではないかと思っています。

前の記事で、私は子どもには小さな失敗をたくさん経験してほしいと書きました。

興味についても同じです。

やってみたけど続かなかった。

思っていたのと違った。

途中で飽きた。

それも含めて、自分で確かめることに意味があります。

親が「これは将来役に立つから」とレールを敷きすぎるのではなく、本人がいろいろ試しながら、自分なりの「好き」や「やってみたい」を見つけていく。

その探索を支えることが、大人の役割なのだと思います。

「ちょっと面白そう」を増やしたい

これは、私たちがオンラインキャリア教育アプリ「おしごとスタディ」を作った理由ともつながっています。

私たちが子どもたちに、最初から「将来の夢」を決めてほしいわけではありません。

小学生のうちから、一生続ける仕事を見つける必要もありません。

むしろ、

「宇宙飛行士って面白そう」

「建築士ってこんなことをするんだ」

「お医者さんって、病気を治すだけじゃないんだ」

「世界にはこんな問題があるんだ」

という、小さな興味をたくさん持ってほしい。

そして、その中で一つでも心が動いたら、もう一歩だけ踏み込んでみてほしい。

そこで新しい疑問が生まれれば、勉強につながっていくかもしれません。

だから、おしごとスタディでやりたいことは、単に職業の知識を教えることではありません。

子どもたちの「ちょっと面白そう」を増やし、その次の一歩につなげること。

その小さな一歩が積み重なった先に、

「もっと知りたい」

「できるようになりたい」

という学ぶ意欲が生まれる。

子どもが勉強を嫌いになってから、どうやって勉強させるかを考える。

その前に、私たち大人にできることがあるのではないでしょうか。

子どもの世界を広げるきっかけを、たくさん渡すこと。
そして「ちょっと面白そう」が生まれたとき、その次の小さな一歩をそっと支えること。

私は、そこから学びは始まるのだと思っています。

オンラインキャリア教育アプリ「おしごとスタディ」

小学生向けキャリア教育アプリ
世の中のさまざまな仕事や社会問題を学ぶ学習アプリ